【グラフ解説】日本 消費者物価指数(コア)の推移と今後の見通し総務省が3月9日に発表した2月の消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合指数)は、前年同月比3.0%となった。前月(3.2%)から伸びが鈍化したものの、xenoBrainによるAI予測値(2.904%)を上回る結果となった。xenoBrainでは、次月の発表値を2.902%と予測し、さらなる鈍化を見込んでいる。一方、季節要因や統計的ノイズを除去したトレンドベースの予測では、6ヵ月後を3.134%と予測しており、緩やかな上昇基調が続く可能性がある。要因分析■ マクロ環境要因・消費者信頼感指数(-19.2%)消費者の景況感は大幅に悪化し、特に先行き不透明感が強まる中で耐久財や娯楽消費の落ち込みが目立った。インフレの長期化に加え、金融引き締め政策の影響が個人消費全般に重くのしかかっている。・実質賃金(-3.4%)と雇用市場インフレを上回る賃金上昇が実現できておらず、家計の購買力は低下傾向にある。一方で、雇用市場は依然として堅調であり、失業率は低水準を維持しているものの、企業の採用意欲は鈍化しており、今後の雇用環境には注意が必要だ。■ 市場需給要因・小売売上(+4.8%)と消費トレンドの二極化全体として小売売上は増加傾向にあるが、その内訳を見ると生活必需品やディスカウントストアでの支出が拡大する一方で、高級ブランド品や耐久消費財の購入が減少している。中間層の購買意欲が低下し、富裕層と低所得層の消費動向の二極化が進んでいる。・サブスクリプションサービス利用(+13.9%)消費者の支出抑制傾向が続く中で、コストパフォーマンスの高いサブスクリプション型サービスが成長している。特に、動画・音楽配信、食材デリバリー、ファッションレンタルなど、生活に密着したサービスの需要が堅調だ。■ 市況価格要因・食品価格(+7.2%)と消費行動の変化食品価格の上昇が続いており、特に生鮮食品や外食のコスト増が顕著である。その結果、消費者の節約志向が強まり、自炊需要の増加や、割引商品・PB(プライベートブランド)商品の選好が高まっている。・エネルギー価格(-8.5%)と消費者心理原油価格の下落により、ガソリン価格や光熱費が一部緩和され、可処分所得へのプラス要因となっている。しかし、エネルギー市場の変動が依然として大きく、長期的な消費者心理への影響は不透明な状況が続いている。■ その他の要因・BNPL(後払い決済)利用増加(+21.4%)消費者の節約志向が高まる中、クレジットカードの利用は減少している一方で、BNPL(Buy Now, Pay Later)の利用が急増している。特に若年層を中心に、短期的なキャッシュフローの調整手段として活用されるケースが増えている。・旅行・レジャー支出(+9.6%)個人消費全体の慎重姿勢が続く中、旅行・レジャー分野では依然として回復傾向が見られる。特に海外旅行への需要が高まり、航空券や宿泊費の価格上昇にもかかわらず、消費者の支出意欲は一定の水準を維持している。予測根拠分析